近頃は巷で発達障害者という言葉をよく耳にするようになりました。どのような定義や特徴があるのかご存知ですか?私の従姉弟にもいるのですが、見た目からして全然わかりません。
今回は発達障害者について、わかりやすく解説したいと思います。後半には、知人の精神保健福祉士に聞いた接し方も記載してみました。それではいってみましょう。
発達障害者とは?
発達障害とは、生まれつき脳機能に特定の障害があることを言います。
たとえば注意力や集中力を保てなかったり、他の人たちと違った物事の感じ方や考え方をすることがあるのです。そのためコミュニケーションに問題があり、対人関係を上手く築けなかったりするなどの特徴があります。
その一方で学力やIQは比較的高くてひらめきも多く、人によっては一般より優れている場合があるのです。
発達障害がある人は、脳機能に山と谷のようなアンバランスさがあると言われています。そしてそのアンバランスな脳機能とその人が過ごす環境で周囲の人との関わりあいなどから、社会生活に困難が生じてしまうのです。そんな障害を持つ人を発達障害者と呼びます。
ただ見た目からわかりにくいため、本人や親がそれぞれが努力を怠ったとか怠けているなどと誤った批判を受けたりすることがあるのです。
発達障害者の定義とは?
発達障害者の定義は法律で定められています。
「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
「発達障害者」とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
引用:発達障害者支援法(平成16年法律第167号)
発達障害は先天性のもので、薬や親の愛情不足で引き起こされるわけではありません。原因は未だ究明中の段階で、遺伝性の物が強く関係していることがわかっています。
また昔からその発生率は3:1や2:1など男性の方が女性より多いと言われ、専門家によっても意見がわかれるのです。さらに一般の学校でも児童や生徒の中で、約15人に1人の割合で発達障害の可能性があります。低年齢になれば、もっと増えると言われていますよ。
ただこの内容は正式に診断された子どもの数からでなく、その特徴を示す子どもの数から引き出された割合です。
発達障害者の診断基準とは?
発達障害の診断は、『DSM-5』や『ICD-10』によって行われます。
ICD-10=世界保健総会において採択された疾病、傷害及び死因の統計分類。
たとえばWAIS-3(ウェイス・スリー)心理テストなどでIQの検査が行われ、これで大きく分けて4種類の能力を診断します。
ウェクスラー成人知能検査の1つで、適用年齢は16歳から89歳である。
その結果、得意・不得意分野がそれぞれがわかるのです。
アンバランスさが大きいことで発達障害の特徴とされていて、診断時に強く影響します。さらに、 他の診断名では説明がつかないことなどが基準となるのです。
発達障害者の特徴とは?
日本における発達障害は、大きく分けて三種類あります。
- 広汎性発達障害
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- 学習障害(LD)
特徴が異なりますので、1つ1つ見ていきますね。
広汎性発達障害とは?
広汎性発達障害は、自閉症・アスペルガー症候群・レット障害・小児期崩壊性障害・特定不能を含んだ総称です。以前はそれぞれ別の障害として分類されていましたが、2013年以降に自閉症スペクトラム障害(ASD)と統合されました。
特徴はこのようになります。
- 視線を合わせられない
- 自分の気持ちを伝えることなどが困難
- オウム返しの会話や一方通行の会話になりがち
- 物事に強いこだわりがある
- 感覚が異常に過敏(あるいは、鈍感)である
- 柔軟な思考や変化への対処が難しい
コミュニケーション能力に障害があり、対人関係を築くのが難しくなります。そのため、自立するのに困難が生じるのです。
ADHD(注意欠如多動性障害)とは?
2014年以降に注意欠陥は、注意欠如と名称変更されています。
特徴としてこのようなことがあるのです。
- 忘れ物が多い
- じっとしていられない
- 思いついたことをすぐに声に出してしまう
学業や日常生活に支障をきたすほどである場合、この名称の障害があると診断されます。突然動き出したり声を出すことで人と違った風に感じられるため、症状が発見しやすです。
学習障害(LD)とは?
学習障害は知的発達には特に問題がなく、以下のように特定の能力を必要とすることが極端に困難となります。
- 聞く
- 話す
- 読む
- 書く
- 計算
- 推論する
とてもこの障害は気付かれにくく、怠けているととらわれることもあるのです。そのため大人になるまでわからず、変わってる人や天然の人とも言われる場合があります。日頃からの行動を観察し、早期発見が必要とされる症状になりますね。
その他の発達障害として、チック症や吃音症があります。
一見、癖とも取れる、急速に繰り返される瞬き、咳払い、首ふりなどの症状のこと。
一瞬あるいは一時的に無音で言葉を発せない状態が続く症状のこと。
広汎性発達障害やADHDの場合は、同時に知的障害を発症している場合もあるのです。また発達障害者支援法の施行についての文書には、てんかんなどの中枢神経系の疾患や脳障害の後遺症も、法の対象とすると記載があります。幅広い症状に、対応が求められるのです。
発達障害者の接し方とは?
発達障害者にはいろいろな方がおられます。そこで私の知人である精神保健福祉士さんに、どのように接すればいいか確認してみました。
言われたのがこちらです。
- 症状を理解する
- 具体的に説明して話すようにする
- 些細なことでも褒める
まず、相手の発達障害の症状を理解しないといけません。そして特徴を把握し、その人を尊重することが必要と言われました。
間違っても、「このように思って欲しい」と考えて喋っても通用しません。かみ砕いての具体的な説明が必要です。また褒めることで、喜びを引き出すことができるようですね。誰だって褒められれば嬉しい気分になれます。
このように相手が障害を持っていると考えず、特徴のある人と考えて接すればいいと言われました。この記事が参考になれば、ありがたいです。
さいごに
一見、発達障害者は普通の人に見えるため就業には苦労がつきまといます。どうしても独特の特性や長所があるのです。その生かせる職場環境や職種を選び、コミュニケーションの方法を上手く工夫したり適切な支援を受ることで強みを生かして働けます。
ただ多くのトラブルや犯罪において被害者にも加害者にもなり得る可能性が高いため、周囲の理解はもちろん必要です。早急な社会環境や法律、教育、医療、福祉などの整備が重要になってきますね。
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