重度障害者と聞くと、何やら大変そうに聞こえませんか?実を言うと、そんなことはないのです。と書けば語弊を招きそうですが、いろいろな福祉サービスがあるので活用すればポジティブに楽しく生きていけます。何を隠そう私自身、当事者ですからね。
今回は重度障害者について、わかりやすく解説したいと思います。後半には私が実際に恩恵を受けていることについても、色々記載してみました。それではいってみましょう。
重度障害者とは?
私は車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷した四肢麻痺者です。車椅子で生活していて、身体障害者手帳1級を持っています。いわゆる重度障害者にあたるのです。
実を言うと定義は幅ひろく、シッカリしたものがありません。法律によって違ってくる曖昧さがあるのです。
通常は、障害者雇用促進法の重度障害者の定義が使われることが多いようですね。その内容がこちらです。
- 身体障害者障害程度等級表の1級又は2級の障害を有する者、3級の障害を2つ以上重複している者。
- 知的障害者判定機関により知的障害者の程度が重いと判断された者。
引用:障害者の雇用の促進等に関する法律
身体障害者で等級が1級、2級の人となればそうとう幅が広いと思います。私のような四肢麻痺者と下肢だけ麻痺の人とが、重度障害者とひとくくりにされているのですからね。不公平感が出ることもあるのです。
ところで障害者総合支援法で行われる福祉サービスの中に、重度障害者等包括支援というのがあります。ここでも定義づけられているのです。次の章ではその内容について、見てみましょう。
重度障害者等包括支援とは?
重度障害者等包括支援というのは常に介護がいる人以上に介護が必要な方に対し、いくつかのサービスを組み合わせて支援することを言います。以下がその詳細です。
- 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・生活介護・短期入所
このサービスには、重度障害者の定義がされています。その条件というのが、次の2つです。
- 常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高い者
- 障害 支援区分6であって、意思疎通を図ることに著しい支障がある者
引用:厚生労働省
障害支援区分が区分6という身体障害の程度をあらわす評価で最重度の状態であり、いつも介護が必要という条件があります。
障害福祉サービスを利用のため、支援を総合的にしめすもので厚生労働省令でさだめる。区分は1~6あり、数字が大きいほど支援度が高い。
とくに言葉などによるコミュニケーションに支障がある場合は、絶対条件です。さらに四肢麻痺で寝たきりや、人工呼吸器による呼吸を行っている身体障害者。つまり筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、遷延性意識障害」などが当てはまります。
≪筋ジストロフィーとは?≫
時間とともに筋肉が徐々に壊れていき、進行性に筋力がおとろえる病気のこと。
≪脊椎損傷とは?≫
脊椎(背骨)を損壊し、脊髄に損傷をうける状態のこと。
≪ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは≫
運動神経細胞がおかされる病気で、難病の一つ。
≪遷延性意識障害とは≫
植物状態といわれる病状のこと。
また知的障害者や精神障害者の場合は、たとえ歩行の場合でも困難がつきまとうことがあげられます。おもに最重度知的障害者とされる重症心身障害者は、福祉サービスの行動援護の対象となるのです。
重度障害者の誤解されやすい例とは?
重度障害者のシッカリした定義が定まっていないので、誤解されやすい例があります。それは障害福祉サービスの重度訪問介護の対象が、必ずしも重度障害者とは限らないということです。なぜなら、より軽度の障害支援区分4~5の方も利用となっています。
その他に身体障害・知的障害・精神障害などのうちいくつかの障害をあわせ持つ場合を重複障害と呼ばれますが、重度障害とは限らないのです。軽度の重複障害者はあてはまりません。
重度障害者医療費助成制度とは?
また各市町村ごとに設けられている医療費の負担をおさえる、重度障害者医療費助成制度があります。
ただ定義づけられている重度障害者はそれぞれの区市町村によって、負担金や年齢制限などの違いがあるのです。
たとえば対象者が、IQ40以下(中度知的障害)の所もあればIQ35以下の場合があります。通院や入院にかかる自己負担額が300円必要な所や月々1医療機関あたり500円まで自己負担、さらに年齢制限があったりするのです。
こうした医療における重度障害者の定義づけの違いは、地域格差の原因ともなりうると言えるでしょう。人権問題にもつながり、今後の重い課題となっているのが現状です。
重度障害者と税金とは?
私は手の指に障害がありますが、パソコンのキーを打つことができます。
文字入力ができるので、ライターとしての個人事業主になります。確定申告を行っているのですが、納税者本人が障害者であるときは障害者控除をうけることができます。通常は27万円なのですが、私は特別障害者(重度障害者)なので40万円が所得金額から差し引かれますね。
また重度障害者を扶養している方(両親・兄弟・配偶者)はいつも同居しているときは1人当たり75万円が障害者控除としてうけられるのです。これってありがたくないですか?
さらに驚くべき内容が、贈与税に関してです。重度障害者(特別障害者)は、6,000万円まで非課税になります。親の残してくれた財産を相続する場合は、6,000万円以上でないと課税されません。私の親は負の財産が多いので、どうしようか検討中ですがね。
このように重度障害者はいくつかの恩恵が受けられ、生活の負担を軽減されているのです。そうやって体のハンディーを埋めていけるよう、今後も温かい社会が生まれることを願っております。
さいごに
2016年に相模原市の施設「津久井やまゆり園」でおきた殺傷事件。このとき19人の尊い命がうばわれました。
亡くなった方々は重い障害を持っていましたが、精一杯生きておられたのです。私も重度の障害を持ちますが、無駄な命はないと思います。亡くなられた方々のご冥福を祈り、この記事を書いていて今後の人生を頑張って生きて行こうと誓いました。
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