障害者のいじめと聞けば、どのように感じますか?私自身に被害は無いのですが、もしされたことを考えると精神が持たないと思いますね。悲しい気持ちで、いっぱいになってしまうのではないでしょうか?
今回は障害者といじめについて、詳しく解説します。後半には脳性麻痺の友人に聞いた、学園や施設の現状も記載してみました。それではいってみましょう。
障害者に対するいじめの状況
いじめは、ダメな行為です。なぜなら社会が成り立つには、お互いを傷つけあわないことが大前提になっているからです。そこでまず定義を知る必要があります。以下に世界と日本とをわけて記載してみますね。
【世界のいじめ定義】
「自尊心を損なわせ弱体化させることを目的とした、執念深い、冷酷な、あるいは悪意のある企てによる、長期に亘って繰り返される不快な行為」引用:Wikipedia
【日本のいじめ定義】
「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」引用:いじめ防止対策推進法
驚くことに、世界と日本とではいじめに対する解釈の仕方が違っているのですね。さらに、虐待についても見てみます。
【虐待とは】
むごい扱いをすること。繰り返しあるいは習慣的に、暴力をふるったり、冷酷・冷淡な接し方をすること。引用:Wikipedia
いじめと虐待の線引きが、なかなか難しいところですが。^^;
実際に障害者のいじめや虐待は事件として表面化こそはしないものの、日常的に存在します。しかし障害の種類は幅広く、精神障害者や発達障害者のように公表あるいは認知せず就労・就学している場合もあるのです。そのため障害者といじめのデータ反映は、難しくなります。
また、以下のようにライフステージによっての管轄も違うので、データの一元化が難しくなっているのです。
- 学校に関することは文部科学省
- 就労の現場や障害者入所施設等に関することは厚生労働省
- 人権に関することは内閣府や法務省
さらにはいじめや虐待に関する大半は障害者のみならず健常者と一体的に扱われていて、限定されていないという状況。この理由から、国による障害者に関するいじめや虐待の統計データは存在しないのです。
次の章からは、部門に分けて見ていきますね。
学校における状況
学校における障害者へのいじめ状況の統計は、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査(平成28年度)」として文部科学省が公表したデータがあります。
その内容によると障害者が通う特別支援学校におけるいじめの認知件数は1704件であり、前年度調査の1274件を上回る内容になるのです。
ただこの中には、小中学校等に設置された特別支援学級におけるいじめの件数が含まれていません。また保護者の強い意向等により、障害があっても普通学級に通っている子どもがデータに反映されていないのです。
当該データは、学校における障害者へのいじめに関する傾向を知る上では有効になります。しかし必ずしも正確な実態を示しているとは、言い難いようですね。
就労の現場における状況
就労の現場における障害者のいじめや虐待を示す統計については、厚生労働省により「平成29年度使用者による障害者虐待の状況等」として取りまとめられたデータが公表されています。
その内容によると、雇用している事業所の事業主及び上司等からいじめや虐待が行われているおそれがあるとして、公的機関に相談及び通報が1483事業所・2454人に上るのです。これは前年度比でそれぞれ12.7%増・44.6%増。
また当該相談・通報件数のうち実際に認められた数はそれぞれ597事業所・1308人に上り、これについても前年度比で2.8%増・34.6%増となっています。障害者の社会進出が急速に進む一方で、理解や差別意識の問題改善に課題が残っている現実があるのです。
障害者のいじめ・虐待の種類
法律に関しては、平成23年に公布された障害者虐待防止法というのがあります。障害者への虐待内容は、以下の5つに分類されています。
- ≪身体的虐待≫
- 暴行による身体への傷害及び正当的理由のない拘束等の行為
例:殴る、蹴る、ビンタ(平手打ち)、部屋に閉じ込める、縛り付けたり医薬品を投与すること等により身動きを封じる など
- ≪性的虐待≫
- 障害者にわいせつな行為をするあるいはさせる行為
例:わいせつな行為、わいせつな映像を見せる など
- ≪心理的虐待≫
- 著しい暴言や拒絶的対応、不当な差別的言動等で心理的な外傷を与える行為
例:侮辱的な言葉を浴びせる、怒鳴る、罵る、人格を否定するような発言を浴びせる など
- ≪放棄・放任(ネグレクト)≫
- 長時間の放置及び著しい減食、放置、障害者養護の措置を放棄する行為
例:十分な食事や水分を与えない、栄養状態を悪化させる、入浴させない、排泄介助をしない など
- ≪経済的虐待≫
- 障害者の財産を不当に処分する行為及び不当に財産上の利益を得る行為
例:年金や賃金を渡さない、本人の同意なしに預貯金や有価証券等を流用する など
なお前出の「平成29年度使用者による障害者虐待の状況等」によると、これらのうち最も多かったのは、経済的虐待で1162人(83.5%)。次いで心理的虐待の116人(8.3%)、身体的虐待80人(5.7%)の順で続きます。
確かに、私も友人も親からの経済的虐待を過去に受けましたからね。本当に大変で、精神的にも参りましたよ。
障害者へのいじめ・虐待に関する相談窓口
障害者へのいじめ・虐待に関する相談窓口には、次のようなものがあります。
いじめや虐待を受けた障害者の環境にによって、窓口が異なるのです。もしどこへ相談するべきか迷うときは、住んでいる近くの役所または役場の障害福祉担当部署にするのが良いのでしょうね。
- 各市区町村の障害福祉担当部署
- 各都道府県の障害福祉担当部署
- 児童相談所
- 教育委員会等
- 特別支援教育に関することは特別支援教育センター
- 各都道府県労働局(公共職業安定所(ハローワーク)、労働基準監督署を含む。)
- 障害者就業・生活支援センター
- 各都道府県法務局
- 各地方の弁護士会及び法テラス
悩んだらまず相談です。それだけでも、気が晴れますよ。
親身に相談にのってくれるので、安心して電話相談ができます。実際に解決した事例もありますからね。
さらに児童に関してのいじめ相談で、文部科学省が設置した24時間フリーダイヤルで行われている場所があります。
0120-0-78310 通話料無料
まずは聞いてもらうことが一番大事ですし、電話してみましょう!
障害者のいじめについて取材してみた!
申し遅れましたが私は19歳のときに車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷して車椅子で生活しています。障害を持ってからは、車いすツインバスケという障害者スポーツを行っているのです。
チーム内に脳性麻痺の選手がいるのですが、この彼は小さいころから障害者の学園で育ちました。聞くところによるとそこでも、いじめがあるようですよ。
一部ですが、具体的な内容がこちらです。
- トイレが遅いと暴言を吐かれる
- 電動車椅子で体当たりされる
- 無視される
このように見れば、心理的虐待が多いようですね。中には、わざと電動車椅子の操作ミスを装ってぶつかってくる行為などもあるようです。車椅子同士になるので怪我はないようですが、振動で衝撃がスゴイと言っていました。実際に障害者作業所でも同じことがあるようです。
いじめや虐待と冗談の線引きは、当時者と加害者の価値観により難しくなります。しかし、このような実情のようですよ。
先天性の障害者同士でもいじめがあるのを聞き、正直びっくりしました。どこの世界にでもあるのだと、納得もしたのですがね。だって高齢者同士の中でもあるし、もちろん健常者の中にもあります。
このように同部類の中には、何かしらの上下関係が存在するのです。少しでも安心して生活できる世界が生まれるのを、願っております。
まとめ
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障害者といじめと問われれば、弱い者いじめに聞こえるのですが。その弱者同士の中にもあるのに驚いてしまいます。そう考えると、人それぞれに支えになる人が大切なのでしょうね。
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