心身障害者と聞いたことありませんか?私自身、障害を持つ当事者ですが、聞くこともあれば聞かないこともあります。ちょっとややこしい言葉という印象です。
今回は心身障害者について、詳しく解説します。後半には頚髄損傷者の友人に、この言葉をどう思うか取材してみた内容も記載してみました。それではいってみましょう。
心身障害者の定義とは?
心身障害者という言葉は、どっちかと言えばあまり聞くことが無いと思うのです。それもそのはずで1993年以前は心身障害者対策基本法(1970年制定)があったため、この単語がよく出てきました。
定義がこちらです。
「心身障害者」とは、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、音声機能障害若しくは言語機能障害、心臓機能障害、呼吸器機能障害等の固定的臓器機能障害又は精神薄弱等の精神的欠陥(以下「心身障害」と総称する。) があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。
引用:特集/障害の定義 日本における障害者の法的定義
簡単に言えば身体障害、視覚障害、聴覚障害、心臓や呼吸器の障害、知的障害や精神障害のいずれか、または双方を合わせ持っている場合で、日常の社会生活に困難をきたす者を言います。
ちなみに知的障害と精神障害については、この法律の規定時はいずれも精神薄弱等の精神欠陥のある者という表現だったのです。
心身障害者と障害者全般
心身障害者という呼び名は障害者基本法(1993年)が制定されてから、法律上でも一般的にも使われなくなりました。それに代わり、障害者と使用することが多くなったのです。つまり心身障害者という言葉は、古い表現と言えるのではないでしょうか。
ただ地方自治体の定める制度や役所などの公的機関では、現在も多用されているのです。
以下の内容が、現在も使われる例になります。
- 心身障害者福祉手当
- 心身障害者医療費助成制度
- 心身障害者扶養共済制度
- 心身障害者センター
心身障害者の語が使われていますが、これらは障害者を指す言葉ととらえられていいでしょうね。今後この表現がなくなっていくと推測されます。
ただ当事者やその家族、支援者の中には、この言い方に慣れている人もいるのです。その配慮からか、あるいは役所などの公的機関側で把握しやすいからか名残りが今後もしばらく続きそうですね。
心身障害者の誤解例とは?
心身障害者という語は慣れていない人が目にしたり耳にすると、別の意味に思われやすくなります。医療・福祉関係で似た用語もあるので、特に誤解されやすい例を挙げてみますね。
心身障害者という語そのものが身体障害と知的障害や精神障害の重複障害の意味で、誤解されやすいのです。
特に心という単語が先頭に入っているので、精神障害や精神疾患を持っているように聞こえます。さらに身体の障害も持っている者を指すと思えるのです。しかしこの意味ではありません。
≪誤解例②≫
重症心身障害者(児)という福祉用語があります。これは①と逆で、重度の身体障害(特に肢体不自由)と重度の知的障害を重複して持っている者を指すのです。
重度レベルとしては全く自立歩行ができず、IQは35未満が一般的な基準とされています。
≪誤解例③≫
医療用語で、心身症という病名があります。これは精神的ストレスが原因で、身体の各所に現れる病気を示す語です。心身障害者と共通の文字部分が目立つので、混同しがちですが別物になります。
まだまだ間違えやすい例が多い現実があるのです。
心身障害者という言葉を友人に取材してみた
私自身19歳のときに車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷した障害者です。そのため車椅子で生活しています。
障害を持った私からすれば心身障害者と聞くと、心と体に障害があるように聞こえてしまいますね。頚髄損傷者の友人にも取材したところ、私と同じように感じたと言っていました。
さらに脳性麻痺の友人にも取材すると、この彼は病院に勤めているのもあり現在も使われていることを知っています。ただ私たちと同じように、心と体を指すように聞こえると言っていました。
このように、障害を持った人でも間違えてしまいます。「心身ともに疲れる」「心身ともに鍛える」といった風な使い方もあるので、その点は解消する必要があると思うのです。
現実は、使用している市町村が多いのですがね。。。^^;
誤解がない呼び方が定着することを願っています。
さいごに
今回、心身障害者について解説しましたが、法律の改正で名前が変わることに対して改めて驚きました。それだけ国にとっての規律となるものは、重要なんだと実感した次第です。なにはともあれ、誰しもが住みやすい環境ができるのを願っております。
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