頚髄損傷のリハビリ内容をご存知ですか?私自身、19歳のときに車の事故で首の骨を折り車椅子に乗っている頚髄損傷者なんです。これまで辿ってきた道なのでよくわかりますよ。本当に苦労しましたからね。
今回は健常者から障害を持って長い私が、頚髄損傷のリハビリ内容とC6の自立についてお伝えしたいと思います。すべての内容は、経験をもとに書き上げていますよ。それではいってみましょう。
頚髄損傷はリハビリで回復するの?
冒頭で示したように私は車の事故で受傷したのですが、瀕死の状態で病院へ運び込まれました。過去に詳しく書いた記事がありますので、お時間がある際にお読みいただければ幸いです。
入院して落ち着いたころに担当医から、今後は車椅子生活と言われました。しかし心の中では、「リハビリすれば絶対に元通りになる!」こんな風にずっと思っていたのです。
現在では脊髄損傷を対象とした再生医療が可能になり、高額負担・半年以内と制限はありますが、治療法が確立されたようですよ。
その後、怪我した場所が他県だったため実家の近くにある医科大学病院に転院し、首の固定手術をしました。そこからさらにリハビリ病院へ移ったのですが、専門的なリハビリを集中してすれば怪我する前の体に戻ると思っていましたね。
だってそれまで手足は動きませんでしたが、「頑張ってリハビリさえすれば動くかも!」と担当医や看護師さんには言われていたのです。言われれば期待すると思いませんか?
だけどどれだけリハビリを頑張っても日だけが過ぎてゆき、一向に回復しませんでした。
不安を抱える中で入院中に知り合ったバイク事故で頚髄を損傷した年上の男性に、このようにハッキリ伝えられたんです。
「神経は一度切れてしまったら元に戻らんし、俺たちはもう歩けんのやって!」
これを言われた時、頭を殴られた感のように強い衝撃を受けたのです。「もう2度と歩けなくなったんだな。」とショックはありましたが諦めがつきましたね。
今の医学では、切れた神経を元に戻すことは不可能と理解しなければなりません。ゆっくりとでいいので、気持ちを整理することが大事だと思います。
では、その入院中のリハビリですが、どんなことを行うのでしょうか?
頚髄損傷とリハビリ 私が行った内容とは?
まず最初にリハビリ本来の意味を理解しておかなくてはなりませんが、このような内容になります。
- 残存機能(障害の持っていない部分)を活かして、在宅復帰や自立生活をめざすこと
私はリハビリの目的を完全に勘違いしていました。正式には障害のない箇所を強化し、自分でできる内容を増やすことなのです。魔法を使ったように動かなくなった部分を動かすことではありません。
またリハビリには、理学療法と作業療法があります。簡単に言えば、このように分類されるのです。
- 理学療法 - 寝返りや起き上がり、歩くなどの生活を行う基本動作の改善をサポート
- 作業療法 - 食事や入浴、手作業などの活動をサポート
基本的に頚髄損傷者は残存機能を利用しなければいけないため、筋トレが中心になります。そして動かなくなった指を利用し、挟んだり引っかけたりするコツを掴むことも重要になるのです。
ちなみに、私が退院して自宅で生活するまでに行ったリハビリ病院での内容が次になります。
- 【理学療法】
- 起立台で起立訓練
- 寝返りやプッシュアップの訓練
- ベッドから車椅子に移動の訓練
- 両手両足をほぐす
- 両腕に砂のうを巻いての筋トレ
- リハビリゴムで引っ張っての筋トレ
- 車椅子に重りをつけて引く
- 車椅子でアスファルト上の路面を自走する
- 【作業療法】
- 両手両足をほぐす
- 豆や棒をつまむ訓練
- 自己導尿の練習
- パソコンのタイピング練習
- 車のハンドルを回す訓練
- 重りを使って押す筋トレ
- 車椅子から車の運転席への移動の訓練
過去に私は、自宅で行っている筋トレの方法について書いた記事があります。時間がある際にでも参考にお読みいただければ幸いです。
私の入院中は、車椅子に重りを付けて引っ張っていました。行っている最中は、野球部時代のタイヤ引きを思い出しましたね。^^;
また病院の周りにあるアスファルトの道路を、自走で周りました。院内でするのと違って気分転換になり、重り引き以上に体力作りとなりますよ。
ところで私はC6レベルになります。さらに細かい設定があるので、次の章からその詳細についてお伝えさせていただきますね。
頚髄損傷とリハビリ C6の三頭筋が利くレベルとは?
私のC6レベルは、4つに分かれているのです。そのレベルの詳細がこちらになります。
- ≪頚髄損傷C6≫
- C6-A ★★★★
- C6-B1 ★★★
- C6-B2 ★★
- C6-B3 ★
★が多いほど障害がキツイです。
ちなみに、私のレベルはC6-Aです。以前に比べる意味を込めてチーム内のC6-B1選手と、手を上げる写真を撮ってみました。
これでも2人は競い合って一生懸命に手を上げているのですが、これが精一杯なのです。右手のほうがよく上がる理由は、利き手だから筋肉が発達しているのでしょうね。左の彼は私より状態が良いのですが、2人とも三頭筋が利いていません。
腕を伸ばすために必要な筋肉
写真は私の手首ですが、2人とも手の甲を上にした状態からは上げることができます。
⇩
反対方向の手のひらを上にして手首を上げることは、2人ともできないのです。
それに、プッシュアップはできません。
腕だけでお尻を上げる動作
お尻をずらすには腕をまっすぐ伸ばした状態で肘を固定し、移動する方法をとります。
三頭筋が利いているのはC6-B2とC6-B3のレベルの方で、プッシュアップもできて自立度がアップします。
ここまでC6のレベルについて、私とバスケチームの選手とを比較しお答えさせていただきました。こちらでも過去に書いた記事があるので、お読みいただければ幸いです。
それでは次の章でC6-Aの私がどこまで一人でできているのか、お伝えさせていただきますね。
頚髄損傷とリハビリ C6-Aの私はどこまで一人でできるの?
私は、C6の中でも一番悪いレベルとお伝えしました。ということは、頚髄損傷C6レベルであれば努力しだいで車の運転が可能なんです。
そこでわけて箇条書きにしてみました。リハビリ目標の参考にしていただければ幸いです。
- 車椅子の自走
- 自己導尿
- 食事
- タバコにライターで火を付けてを吸う(現在は止めた)
- 洗面(歯磨き、ヒゲ剃り、顔を洗う)
- パソコンのキー打ち
- 自助具を使って字を書く
- 車の運転
上記の内容は、自分自身でできていることです。まだまだ探せばありますね。
さらに次では、日常で手伝ってもらうことを中心に書き出してみました。
- 着替え
- ベッドの移乗
- 洗面所での洗髪
- 車の移乗
- 外出時の自己導尿
時間がなくて焦っている時は、早く完了させないといけません。今は、母やヘルパーさんに介護全般を任せているのです。
だから次の状態のときは自分自身でするよりも、介護者に手伝ってもらった方が早くできますね。
- 母が出勤前の忙しい朝
- 私が日中に疲れ切って迎えた夜
- 外出中に雨が降っているとき
- 人を待たせているとき
またプッシュアップができないので、お尻を引きずって無理に移動すると床ずれになる可能性もあるのです。そのため、生活に支障が出るので無理して自分ですべて実践するのではなく、手伝ってもらうことが多くなりますね。
- 食事の準備
- 入浴
- 排便
上記3つは、完全に手伝ってもらわなければできない内容です。
私は車の運転ができるのですが、これができるのとできないとでは生活が大きく変わってきますよ。行動範囲は、めちゃめちゃ広くなりますからね。
過去に車の運転について書いた記事があります。時間がある際に、お読みいただければ幸いです。
同じバスケチームのC6-B1の選手は若干、床ずれはあるようですが、自分自身で車の座席に移乗していますね。ただ全部一人でするのは良いことかもしれませんが、体を傷つけないためにも気を付けて行わなくてはなりません。
ちなみに、私がリハビリで入院した期間を全部足せば4年近くになります。上記の箇条書きにしたリハビリ内容は、病院を退院して自宅や施設で生活するための最低限のリハビリ内容です。
しかし、現在と過去の医療システムは様変わりしています。現在はどうなっているのでしょうか?
頚髄損傷とリハビリ 現状の医療システムとは?
私は知り合いの医療従事者が何人もいますが、入院できる期間がどれくらいか問い合わせてみたんです。すると現在は過去と違って、最長でも6ヶ月~8ヶ月くらいの入院しかできないと聞かされました。
これまでの経験をもとに、ハッキリ言わせてもらいますね。私が実践したリハビリ内容は、今の入院できる期間内ですべてするのは不可能です。理由がこちらになります。
- 障害を持ったショックで、リハビリどころではない
- 発熱などの体調不良で、リハビリどころではない
だって障害を持った体を受容するには、短期間でできないことです。口では簡単に言えますが、私自身それを受け入れるには長い時間がかかりましたからね。
また体調が悪ければ、車椅子にさえ乗ることができません。
しかし!
現在の医療システムに従うしかないのです。だからリハビリの進め方や内容は、過去と違います。そのため、入院した病院の医療従事者の方々の指示に、したがって頂きたいですね。
入院中は、私が行ってきたすべてのリハビリ内容を実践できないかもしれません。でも自宅や施設で練習する方法が、いくらでも存在します。
もしわからないことや聞きたいことがあれば、コメント欄からお伝えいただければありがたいです。私のわかる範囲で、アドバイスさせていただければと考えております。
まとめ
今回、頚髄損傷者のリハビリとC6レベルについてお伝えさせていただきました。いかがだったでしょうか?
苦しいかもしれませんが、ちょっとでも入院中に頑張っておけば自立できる一歩に繋がります。陰ながら応援していますね。
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- 頚髄損傷はリハビリで回復するの?
- 現在の医学では頚髄を損傷した場合、完全に回復しない
- 頚髄損傷とリハビリ 私が行った内容とは?
- 筋トレや、コツを掴むという自立に向けての訓練
- 頚髄損傷とリハビリ C6の三頭筋が利くレベルとは?
- C6-2、C6-3は三頭筋が利く
- 頚髄損傷とリハビリ C6-Aの私はどこまで一人でできるの?
- リハビリを頑張れば、車の運転までできるようになる
- 頚髄損傷とリハビリ 現状の医療システムとは?
- 最長でも6ヶ月~8ヶ月くらいの入院しかできない
歳を取って思うのですが、やっぱり若い時に筋肉を付けておけば、早くから自立できたことが増えたと思います。私はリハビリに対して怠慢だったため、受傷してすぐにできることが少なかったです。その後、筋トレをして鍛え直したのですが苦労しました。
早めに体を鍛えて、自分でできることを増やしておけばいいですよ。そのほうが、他人にお願いする際に気を遣うストレスも増えませんからね。
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