知的障害者という言葉をよく耳にします。しかしどのような定義があって言われるのか、わかりづらいと思いませんか?当然のごとく、接し方も難しいと考えてしまうのです。
そこで今回は、知的障害者について、わかりやすく解説したいと思います。また後半には、友人に聞いた当時者との接し方について記載してみました。それではいってみましょう。
知的障害者とは?
知的障害者は、過去に精神薄弱者と呼ばれていました。しかし1998年に法改正され、知的障害者と呼ばれるようになったのです。
2000年3月からは、法律上の表記でも使われるようになりました。その経緯もあって、現在でも広義で精神障害に分類されていますよ。
ちなみに知的障害者は、法律上の定義がありません。ただ厚生労働省が行っている調査の定義は存在するのです。
「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義した。
平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要|厚生労働省平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要について紹介しています。
なかなか同じ症状の人が少ないため、定義づけするのが難しいとされているのです。
知的障害者に対する診断とは?
知的障害者は医師から診断され、知的機能(IQ)・適応機能が合わせて計測されます。ちなみに知的機能(IQ)は、70がボーダーラインとして診断されるのです。
加えて適応機能は、次のような指標を基準にされます。
- 日常生活能力
- 社会生活能力
- 社会的適応性
内容は日常生活でその人に期待される要求に対し、効率よく適切に対処しているか?さらに自立しているのか?と診られます。そして、食事の準備・対人関係・お金の管理を含むことも診断されるのです。
知的障害者の特徴とは?
一般的に知的障害者は知的機能と適応機能の評価で、「軽度」「中度」「重度」「最重度」の等級に分類されます。上記の章の診断からも言えますが、特徴がこちらです。
- 適応能力が低い
- 判断力がない
- こだわりが強い
- コミュニケーションが難しい
- 学習能力が低い
さらに併発疾患という、病気や発達障害と同時の可能性があります。
特に自閉スペクトラム症(ASD)との関連性が指摘され、ASD児童のうち45~60%は知的障害を同時に発症しているという報告があるのです。発達障害のADHD(注意欠陥多動障害)やダウン症などとも併発している比率も高くなっています。
他人の気持ちを読み取るのが苦手だったり、興味や関心に偏りがあったりする症状が出る障害。
不注意、多動性、衝動性などの症状が出る障害。
染色体の異常から出る障害。
また重度の知的障害を伴う自閉症児・者が対象となる障害は、強度行動障害と言うのです。特徴はこのようになります。
- こだわりが強すぎる
- パニック状態が繰り返される
- 噛みつきなどの他傷行為がある
- 著しい多動などの問題行動が絶え間ない状態が続く
誤解されやすいのが、学習障害(LD)です。
聞く・話す・読む・書く・計算・推論で、学習できなかったり使用に困難がある状態の症状が出る障害。
学習障害は同じ知的障害だと思われがちですが、知的発達に遅れがない発達障害になります。
知的障害者の原因とは?
知的障害を持つ方が生まれたり発症する場合の原因は医学的観点からすると、4つが主に挙げられるのです。
- 【病理的原因】
- 染色体異常・自閉症などの先天性疾患や、出産時の酸素不足や脳の圧迫などの事故、生後の高熱の後遺症などの疾患や事故が原因の場合。
- 【生理的原因】
- たまたま知能指数が低く(IQ69または75以下)である場合、知的障害と見なされることもあります。
- 【心理的原因】
- 養育者の虐待や会話の不足などといった発育環境が原因で発生する場合もあります。
- 【薬物的原因】
- 大麻などの薬物の乱用が原因の場合もあります。
このように発症する原因はさまざまになりますね。
知的障害者の支援とは?
知的障害者であると認定されれば療育手帳が交付され、各種料金(交通機関や公共施設の利用料など)の免除などの特典がもらえます。
有効期限は自治体によって違いますが、だいたい2年~5年程度で更新です。
自治体によっては、「愛の手帳」や「緑の手帳」などの名称があるのです。また、障害年金や特別障害者手当などの生活資金の援助制度もあります。
ただ知的障害者の問題行動によって、重大犯罪の加害者もしくは被害者になる場合もあることを周囲の多くの人間が知っておく必要があります。必要な教育や生活支援のない状況で社会で放り出され、当事者たちが罪を犯して刑務所に入れられる現実もあるのです。
さらに解放された後も必要な支援を受けられず、再犯を重ねる場合もあります。この現状は大きな問題で、手厚い支援の必要性が望まれているのです。
知的障害者の接し方とは?
私の友人に脳性麻痺の方がいるのですが、支援学校の繋がりからか知的障害者の知り合いが多くいます。その彼に、普段からどのように接っしているのか聞いてみました。教えてもらった内容がこちらです。
- 相手の話をシッカリと聞く
- 話しかけるときはゆっくりと丁寧にする
- 相手によっては行動を褒める
どうしても知的障害者と接すると考えれば、特別視する人もいるでしょう。その点が一番いけないようですね。友達と会話をするように、相手の目を見てシッカリ聞くことが重要と言っていました。
ゆっくりかみ砕いて話すことで、理解にも繋がります。相手によっては行動を褒めることで、あなたとの信頼関係も構築できるというわけです。
一度優しく話しかけてみられてはどうでしょうか?イメージが変わると思いますよ。
さいごに
近年、過去の「旧・優生保護法」に基づき、当事者本人に承諾を得ないまま、不妊治療が行われた事実が大きく取り上げられています。残酷な話ですが、「不良な子孫の出生を防止する」として、知的障害者などに強制的な不妊手術を認めていました。
それが原因で、裁判になるなどの問題となっているのです。
同じような、それに類するような被害が今後起きないようにするためにも「成年後見人制度」の活用も含め、自己決定を最大限尊重しなければいけません。本人の人生に不利益を被らせないように、相談支援の拡充の必要性が求められているのです。
コメント