グランドソフトボールという障害者スポーツがあります。どんなルールなのか疑問になりませんか?それもそのはず、まだまだ知名度も低くあまり知られていないのが現状なのです。
そこで今回はグランドソフトボールについて、わかりやすくお伝えしたいと思います。それではいってみましょう。
グランドソフトボールとは?
まずは動画で、グランドソフトボールについて見ていただけるとありがたいです。
グランドソフトボールは、視覚障害者の野球。別名、転がしソフトボールと言われます。
以前は盲人野球と呼ばれていました。しかし基本的なルールは野球やソフトボールと同じことから、1944年4月にグランドソフトボールと改称されたのです。
グランドソフトボールは日本生まれの障害者スポーツで歴史は古く、昭和の初めごろから視覚特別支援学校(盲学校)で行われていました。そして1933年11月に日本で初めて、横浜公園運動場で開催された第9回全国盲学校学生競技大会で盲人野球が行われたのです。
この大会は視覚障害者の甲子園と言われましたが、生徒数の減少で第31回大会から中断されました。しかし普及・発展させることを目的として、1998年に全日本グランドソフトボール連盟が設立されたのです。
グランドソフトボールのルールとは?
グランドソフトボールはハンドボールと似たようなボールを使用しますが、中に鈴など音が出るものは入っていません。
また以下のような用具を使用します。
- 【用具】
- ボール – 全日本グランドソフトボール連盟公認球(直径58~60㎝、重量425~475g)
- バット – 硬式用のバット
ちなみにゲームのルールは野球やソフトボールと同じですが、視覚障害者でも全力で行えるようにされているのです。
- 【選手】
- 男女の区別はなく、1チーム10人で行う
- 4名以上は全盲選手がプレーしなければいけない
- ピッチャーは必ず全盲選手
- 【投球】
- ピッチャーの投球は、地面を転がすようにして投げる
- 捕手は手を叩くことによって投手にストライクゾーンを伝える
- 球種はストレートのほか、カーブやシュートがある
- 【走塁】
- 野球のベース以外に、走塁専用(野球ベースの2m外側)のベースを設けられている
- 選手がぶつかるのを避けるため、走塁用ベースと守備用ベースが分かれている
このように、視覚障害者の方でも安全にプレーができるようになっていますよ。
グランドソフトボールの特別ルールとは?
さらにグランドソフトボールには、特別ルールがあります。と言うのも全盲選手が打った転々とするボールを捕球した場合、フライアウトと同じ扱いになるのです。
そのため、ゴロが転がってもすぐにヒットとは断定できません。安易に次の塁に進むと、思わぬ結果(併殺)をくらうことになるのです。
この時、他の守備者やベンチからの打球の方向の指示が禁止されています。守備の選手は、ボールの転がる音だけで判断して捕球するのです。
また1塁から本塁まで、各4つの走塁ベースにランナーコーチが置かれます。コーチは手を叩くことで出る音によって、選手の塁の方向を指示するのです。
マウンドの半径1.5mの円内に送球されたときは、試合停止(ボールデッド)になります。
全盲選手がボールを持ったままどこに投げてよいかわからず、その間に走者が走り放題になることを避けるためにです。
ちなみにアイシェード(目隠し)をするので、弱視者や晴眼者でも全盲選手としてプレーが可能になります。
パラリンピック正式種目になれない理由とは?
グランドボールは残念ながら、パラリンピックの正式種目ではありません。以下の内容が原因です。
- 視覚障害者の数が減って、世界的な競技人口が少ない
- 国々によってルールや概要が統一されていない
どうしてもパラリンピックの正式種目になるには、競技内容やルールの統一が不可欠になります。さらに各国にチームが無ければ、試合を行うこともできません。
まだまだ障害者スポーツとしての知名度も低いので、今後さらに発展することを願うばかりです。
さいごに
グランドソフトボールは音が頼りなので、特に全盲選手が打席に立った時はベンチから大きな声を出してはいけません。そのため、静かでかつ奥深いスポーツと言えるのではないでしょうか。
一度は生で、全国障害者スポーツ大会時に行われているのを観戦してみませんか?下記にリンクを貼っておきました。
ただ、この全国大会は1年に1回の一定の時期しか行われません。そのため年内終了している場合は、お近くの障害者スポーツ協会にお問い合わせいただき、練習場所や試合状況をお聞きした方がいいですよ。参考にしていただければ幸いです。
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