障害者権利条約を聞いたことありますか?言葉からすれば、障害者のためになる条約です。とは言えども、どんな障害者が対象?権利の内容はどうなの?と難しく聞こえ、理解しにくいと思うのです。
今回は障害者権利条約について、わかりやすく解説します。後半には当事者の私が思うことや友人を取材した内容も、記載してみました。それではいってみましょう。
障害者権利条約とは?
障害者権利条約とは、すべての障害者(身体障害、知的障害、精神障害等)の尊厳と権利を守るための条約になります。
日本では、障害者の権利に関する条約と言われているのです。かみ砕いて言えば障害があっても一人の人間として差別を受けることなく自由を保証し、個人として大切に扱われることが目的になります。
この条約にはいくつかの定義が存在するのです。確かに障害と言っても、1つのハンデキャップだけではありませんからね。
- 「コミュニケーション」には、点字や触覚による、又は言語によらないコミュニケーション、平易な言語、読み上げ、補助的及び代替的な意思疎通の様式、手段、及び形態、利用可能な情報通信技術よるものも含む。
- 「言語」には、手話その他の形態の非音声言語も含む。
- 「障害による差別」とは、障害を理由とした万人に対する、政治権、経済権、社会権、文化権、市民権の全分野にわたる、人権と基本的自由のあらゆる区別、排除、制限を、さらに障害のある人に対する合理的配慮の欠如を意味する。
- 「合理的配慮」とは障害のある人が他の人同様の人権と基本的自由を享受できるように、物事の本質を変えてしまったり、多大な負担を強いたりしない限りにおいて、配慮や調整を行うことである。
- 「ユニバーサルデザイン」とは障害のある人も含めてすべての人に利用可能な生産物、環境、サービスのデザインを意味する。
引用:Wikipedia
ちなみにこの条約は、2006年12月13日に国連総会にて採択されました。(2005年5月3日発行)
ただ日本では受け入れが遅く、2007年9月28日に署名し2008年 5月3日に発効。2013年12月4日に国内で条約の批准を承認し、2014年1月20日、批准書を国際連合事務総長に寄託。2014年2月19にようやく、日本国内で効力が発生したのです。
国家間で、条約を正式に承認・許可することを言う。
次の章からは内容について、さらに詳しくみていきますね。
障害者権利条約はどのような内容?
障害者権利条約ではすべての障害者が人としての尊厳が守られ、社会参加することができると宣言されています。当然、差別はされません。
また障害があるために、選挙で投票することができなくなるということはありません。もちろん住む場所は、自分の希望で伝えることができる自由が保障されているのです。
その他に地域社会では健常者の方が当たり前にできることと同じように、障害者も自立できる環境が求められています。
車椅子ででも電車に乗ることができるよう駅にエレベーターを設置するなど、バリアフリー化が進んでいるのです。ここ数年で、公共の施設や大型ショッピングセンター等に障害者用トイレが増えているのも頷けます。
他には自宅にいながら必要な支援を受けることで生活できるよう、福祉サービスを充実させる努力も明記されているのです。
また就職したいと希望する障害者の方が仕事をしやすいように環境を整える努力も、この条約が基礎となっている部分があります。過去に障害者雇用促進法について書いた記事があるので、お読みいただければありがたいです。
このように、障害者のために何から何まで考えて作られた条約になります。しかし上記の章でお伝えしたように、日本で効力が発生するまでだいぶ時間がかかりました。
次の章ではその点にスポットを当てて、お伝えしていきますね。
障害者権利条約はなぜ日本で遅かったの?
日本では障害者権利条約の効力が発生するのに、国連が採択してから8年近くも経っていました。なぜこんなに時間がかかったのかというと、障害者差別についてなどの必要な法律ができていなかったからです。
過去に障害者差別解消法について書いた記事があります。お時間がある際に、お読みいただければ幸いです。
しかしなかなか効力が発生しない点が問題ではなく、さらに深刻な状況が日本にあるのです。実際のところ、障害者権利条約が国内で発動されても大々的に報道されずに終わっています。ニュースでは言われているでしょうが、マスコミがほとんど取り上げないことが大問題と思いますね。
さらに日本国民が障害者の権利に対し、関心をあまり持っていないという気もします。その点アメリカやヨーロッパでは、ソーシャルインクルージョンの考え方が強いです。
障害があっても社会から排除するのではなく、社会の中で共に助け合って生きていこうということ。
たとえば公共の場で多少の段差があっても、車椅子ユーザーにとって問題になりません。その場に居合わせた一般の人が必ずサポートしてくれ、するほうもされるほうも当然の行為なのです。
日本では助けようかどうしようか躊躇してしまう人が多く、なかなかうまくいきません。障害者側も素直にヘルプを求められず、親切な人の手まで拒否してしまうことがあるのです。
健常者も障害者も対等な付き合い方がわからないまま、お互い歩み寄っていない感じがしますね。
私が感じる日本での障害者権利条約について
申し遅れましたが私は19歳のときに車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷して車椅子で生活を送っています。障害を持ってからは車いすツインバスケという障害者スポーツを、健康と生きがいのために行っているのです。
実際に条約内には、第30条に「文化的生活、レクリエーション、レジャー及びスポーツへの参加」と書かれています。それを踏またうえで、内容について考えてみますね。
私はチームの代表を任されているため、大学の教授や准教授と接することが多いのです。過去に某大学の教授が、「障害者は障害者スポーツをしなければならない!」と言われておられました。その真意は、外出する理由を作り出すからのようですね。
確かに以下のような理由で、外に出る機会が多くなります。
- 体育館へ練習に行く
- 試合で遠征する
- イベントに参加する
- 選手同士で食事をする(バーベキュー&忘年会)
私は車の運転ができるので、何とか外出できています。しかしもっと重度の障害を持つ人であれば家族に協力してもらえないと、なかなか外に出ることさえできません。実際に身内のサポートが得られず、機会を失う障害者を見てきました。
タクシーを使えばいいと思うでしょうが、外出するごとに出費がかさめばはたして行く気になるでしょうか?今でこそ頚髄損傷者の友人は自分自身の車で車いすツインバスケの練習に来ていますが、過去の運転していないとき以下のように言って嘆いていましたよ。
「福祉タクシーを頼んでも1割引きしかならない。」
そのため自宅から体育館まで片道1万円で、練習に来るだけで2万円かかると言ってたんです。ただでさえ障害者は生活にお金がかかります。それなのにタクシー運賃が高額になれば、生活の妨げになってしまいますからね。
障害を持つと、何かと出費が多くなるのです。^^;
条約内には、「機会を与えられるよう適切な措置をとる」と書かれています。もう少し障害者スポーツを行うための移動手段が容易になれば、もっと多くの参加者が増えると思うのです。早急な対策をお願いしたいですね。
まとめ
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障害者は健常者と一緒で、人間としての価値が同じです。しかし、どこかで障害に対して偏見がある風潮があるのを感じます。たとえハンデを持っていたとしても、その人にとっての幸せを追求することが権利を尊重することではないでしょうか?
まずは、障害者に対して関心を持つことが大事。すべては小さな一歩から始まると思いますね。
コメント
まっつんさん、初めまして。
障害を持った方の自立を応援している団体に勤める村岡と申します。
誰が見ても分かりやすくまとめれれていて、とても読み進めやすいです。
有難うございます。
村岡 様
はじめまして。
お返事ありがとうございます。
お褒めの言葉、ありがとうございました。
最近はブログの更新をしていませんが、
YouTube動画を毎日アップしております。
https://www.youtube.com/channel/UCmdh1ExGfx5yA2G9iVr9Q9A
機会があれば、見ていただけるとありがたいです。
今後ともよろしくお願いします。m(__)m