パラリンピックの馬術をご存知ですか?まさに乗馬でのスポーツ。なかなかメジャーな競技ではないのですが、2020パラリンピックの正式種目なのです。
今回はパラリンピックの馬術について、詳しく解説します。後半には見どころも記載してみました。それではいってみましょう。
パラリンピック馬術競技のルールとは?
まずは動画で、パラリンピックの馬術競技を見てみましょう。いろいろな障害の方が、実践されていますね。
障害者の馬術は、1996年開催のパラリンピックアトランタ大会から正式に採用された競技。対象となる障害は、肢体不自由(上下肢の障害)と視覚障害です。
オリンピックの馬術競技は、馬場馬術(dressage)・障害飛越(jumping)・総合馬術(eventing)の3種目が設定されています。ただパラリンピックは落馬や転倒等の危険性を考慮して、馬場馬術(dressage)のみが設定されているのです。
馬を正確かつ芸術的に美しく制御する技術を競う種目のこと。
この競技は人馬が一体となって呼吸を合わせ、意思疎通しながら高いレベルの調和を図ることが要求されるのです。
ちなみに選手は、ジャケット着用が義務付けられています。馬術の源流が、イギリスの選ばれし階級のみで行われてきた競技であったことが関係するのです。
つまり英国上流社会の格調と品格、作法等を備えたジェントルマンのスポーツであるからこそ当然正装で競技に臨むことが求められます。
なお障害者馬術競技の服装についても格式と安全性の両方に配慮がなされ、ジャケット・ヘルメット・乗馬用ブーツ及び手袋の着用が求められます。一般の馬術競技と同じように、鞍(サドル)や手綱などの用具を装着するのです。
しかしながら障害の状態や程度によっては安全面を考慮して、特殊馬具と呼ばれる馬具を使用することが認められています。
ただし、事前の申請が必要です。
特殊馬具の具体例としては鞍に補助ベルトや背当てを付設したり、手綱の先に輪(ループ)を作ってグリップ力を補完する―等が挙げられます。
さらに視覚障害者については競技の際にコーラーと呼ばれる補助者が最大13名までついて、競技者にマークの位置を声で知らせることが許されるのです。
パラリンピック馬術競技のクラス分け
パラリンピックの馬術は競技の公平を期する観点から、クラス分けが行われます。
グレードがⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,の5段階が設定されており、Ⅰが一番重度で数字が進むごとに障害の程度が軽度となっていくのです。視覚障害を有する選手はⅣ、もしくはⅤのグレードにクラス分けされることになっていますよ。
パラリンピック馬術競技の種目
パラリンピック馬術競技の種目は、個人課目・団体課目・自由演技課目の3つがあります。各種目において男女の別はなく、すべて混合戦で行われるのです。
- ≪個人課目(インディビジュアルテスト)≫
- グレード毎に指定された競技課目を行う。
- ≪団体課目(チームテスト)≫
- グレードに関係なく選手3名でチームを構成し、指定された競技課目を行う。
- ≪自由演技課目≫
- 各グレードの個人課目上位者により競技が実施される。競技課目の指定はなく、各選手が自由に競技を行うことができる。
2020年開催のパラリンピック東京大会では、次の障害者馬術競技が予定されていますよ。
- <チャンピオンシップ課目>
- 個人混合…グレードⅠ~グレードⅤ
- チーム…オープン(グレードによる分類なし)
- <フリースタイル課目>
- 個人混合…グレードⅠ~グレードⅤ
どのような感動が生まれるのでしょうか?今から楽しみです。
パラリンピック馬術競技の審査と採点
パラリンピック馬術の審査と採点は、5名の審判によって決められます。対象となるポイントは、歩様・ステップの正確性・騎乗者と馬の一体感等。常歩・速歩・駈歩の3パターンの歩様を基本とした、多様なステップや課題図形を描く正確さが審査されます。
また、馬の動きの美しさも審査対象です。各項目は10点満点で採点され、演技終了後に競技全体を通しての印象を総合観察点として加算して合計点を算出します。
さらに自由演技課目においては、これに芸術的評価(音楽の選曲や運動との調和や図形のユニークさ等)を加えられるのです。なお合計の得点率(パーセンテージ)で、順位が決定しますよ。
2020パラリンピック馬術競技の日程
2020年に開催されるパラリンピック東京大会での馬術競技日程は、すでに決まっています。以下に記載してみますね。
【馬術】
8/25 | 8/26 | 8/27 | 8/28 | 8/29 | 8/30 | 8/31 | 9/1 | 9/2 | 9/3 | 9/4 | 9/5 | 9/6 |
★ | ★ | ★ | ★ |
【8月27日】 決勝 14:00 – 22:30 | 【8月28日】 決勝 15:00 – 21:30 | 【8月29日】 決勝 14:00 – 22:15 | 【8月31日】 決勝 15:00 – 21:50 |
馬事公苑は、東京都世田谷区上用賀にある公園。現在は、2020年に開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け整備工事中です。綺麗になった場所での競技は、気持ちいいでしょうね。
パラリンピック馬術競技の見どころとは?
パラリンピック馬術競技の見どころと言えるのが、人馬一体感の美しさでしょう。長い時間をかけて築き上げた信頼関係は高精度な同調性を引き出すことで、競技の勝敗を左右します。
馬は人間の意図を正確に汲み取って、運動に反映させることが求められるのです。一方で人間は馬の個性や性格、特徴をしっかり把握した上で、競技に臨むことが必要になります。
また競技者それぞれの障害に合わせた特殊な馬具を使用することが認められていますが、その工夫の様子も見どころの一つですね。
申し遅れましたが私は19歳の時に車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷して車椅子で生活しています。障害を持ってからは車いすツインバスケという障害者スポーツを、健康と趣味のために行っていますよ。
私もアスリートの端くれですが、当事者の立場から言わせていただければ、まず競技される選手の頑張りようが見所です。ハンデをものともせず真剣に実践される姿を見れば、ついつい日本選手を応援したくなりますよ。
手足に障害があったり目が見えなければ、バランス感覚が鈍って落馬の恐れがでてきます。それが日々の修練の積み重ねで、まるでどこにも障害がないかのように乗馬できているのです。その感動の光景が、きっと私達の心を捉えてはなさないでしょう。
障害者の馬術競技が、もっと盛んになることを願っております!
まとめ
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パラリンピックの馬術は動物とともにする競技なので、互いのコンディション調整が難しくなります。気持ちが通じ合わないと、成功もしませんからね。日本の選手がメダルを取れるよう、頑張ってもらいたいです。
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