障害者虐待防止法と聞いたことありませんか?私は障害を持つ車椅子ユーザーですが、虐待ってこれまた物騒に聞こえます。でも実際には、どこにでも存在することなんです。過去に私も被害者として経験がありますからね。
今回は障害者虐待防止法について、詳しく解説したいと思います。後半には私や友人が実際に経験した内容を、記載していますよ。それではいってみましょう。
障害者虐待防止法とは?
障害者虐待防止法は、2012年10月に施行された法律です。正式名称は、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律。
目的と定義がこちらになります。
【目的】
障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者に対する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。【定義】
身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。引用:Wikipedia
簡単に言えば、身体・知的・精神の障害者一人一人の考えを大切にあつかい、虐待されないように保護や予防をし、自立に対しての支援を行うということです。
2000年11月施行の児童虐待防止法、そして2006年4月施行の高齢者虐待防止法に続いての施行になります。対象は違いますが同じ虐待防止法なので、目的がそれほど変わりません。
では具体的に、どのようなことを法律で決めているのでしょうか。次の章からはさらに詳しくみていきますね。
障害者虐待防止法は何を定めているの?
障害者虐待防止法の対象者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者になります。ただ何が虐待とされるかがわからないと、罪に定められません。そのため種類として、以下の5つを定めています。
- 身体的虐待
- 性的虐待
- 心理的虐待
- 放棄・放任による虐待(ネグレクト)
- 経済的虐待
虐待を見かけたら疑わしい場合でも、市町村への通報義務があるのです。もし通報しても守秘義務がありますので、市町村職員から情報がもれることはありません。そのため逆恨みをされたりすることがないので、心配せず連絡することができるのです。
虐待といえば家庭内を想定する人が多いかもしれませんが、福祉施設の職員や職場の上司・同僚も含まれます。職場環境も問われるところが、障害者虐待防止法の特徴の一つです。ちなみに、通報場所が違ってきます。
- 家庭内で発生 - 市町村虐待防止センター(窓口機能のほかに相談や指導も行う)
- 福祉施設や職場で発生 - 都道府県権利擁護センター(窓口、相談や各機関との連絡調整を行う)
双方のセンターは、ともに虐待防止のための広報活動も行っていますよ。
障害者虐待防止法の何が問題?
虐待防止の法律が定められたのは、素晴らしいことだと思います。無ければ行政は行為があったと発覚しても、解決が難しくなるのです。
ただ法律で定めたからと言ってどこからが虐待?の判断が、人によって変わってしまうという問題があります。もし身体にあざがあり殴るけるが日常的に行われていれば、間違いなく身体的虐待です。命の危険があるので強制介入できますが、こんなケースばかりではありません。
例えば重度の半身麻痺の夫が、妻の献身的な介護を受けていたとします。
しかしされる側はかなり口が悪い人で、介護をしてもらっているにもかかわらず感謝の言葉一つ無く文句ばかり。ある日、介護につかれた妻が夫の一言に頭にきて、お尻をペシッと叩いてしまったとします。これは虐待になるのでしょうか?
また重度のうつ病の母親を、一生懸命に介護している息子がいます。ただ溜め込み障害のため、家にモノがあふて不衛生な環境で寝ているのです。これは放置に当たるのでしょうか?
ゴミ屋敷のように、他人には価値がないものでも常に持ち物を捨てずに溜め込む特徴のこと。
一部分だけ切り取れば虐待かもしれませんが、認定してよいのか人によって意見が分かれます。どうすることがこの人たちに良いのか、答えが容易ではないことがあるのです。
私や友人が体験した内容とは?
申し遅れましたが私は19歳のときに車の事故で首の骨を折り、頚髄を損傷して車椅子で生活しています。障害を持ったので20歳から、障害基礎年金をもらっているのです。
冒頭で虐待を受けたことがあると言いましたが、金銭が絡む経済的虐待でした。というのも家業が材木屋なんですが、私の年金を運転資金として勝手に使われていたのです。障害者虐待防止法が施行される前だったので、過去の話になるんですがね。
私のように、障害を持つ方で身内にお金を使われる方が多いような気がしますね。実際に頚髄損傷者の友人と知人の2人が、その被害者になっていました。
どちらも仕事中の事故で障害を持つようになり、労働者災害補償保険(労災)を毎月貰っていたんです。また両方の親父さんが無職のうえ、同居をされていました。結果的には、どちらも喧嘩別れになっていましたね。
虐待と言えば虐待になりますが、身内であるだけに難しい問題だと思います。だって親子であれば、基本的に扶養しないといけない間柄ですからね。実際にどちらも現在は兄、姉夫婦が親父さんの面倒を見ているようなんです。
このように虐待に関しては、法律だけで解決できないことがいっぱい。ちょっと話は脱線しましたが、たくさんの知恵を持ち寄って解決させなければいけない問題が山積みだと思いますね。
まとめ
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障害者虐待防止法ができたことで、市町村が家の中に強制的に立ち入ることが可能になりました。職場の虐待も通報や相談が簡単にできるようになり、救うことができる人が増えたと思います。とはいえ私と友人知人の話のように、同じ対応で解決できるケースはまれなのです。
家族構成や地域資源も違いますし、何より本人の性格が異なっています。どうしても現場での判断が求められますが、力量のある職員と実績の少ない職員とでは対応の結果が違ってしまうのです。
物事の解決能力を向上させるには、知識と経験ともに必要不可欠なこと。障害者にとって住み良い環境ができることを願っております。
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