「体にいいものを食べよう」──そんな言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。私自身も車椅子生活を送るようになってから、健康について考える時間が増えました。
外出の機会が限られるからこそ、毎日の食事の大切さに気づくようになったのです。そんな日々の中で出会った四字熟語が「医食同源(いしょくどうげん)」でした。
この言葉を知ったとき、正直に言うと「よくある健康志向の言葉のひとつかな」くらいに思っていました。でも調べてみると、単なる食生活のスローガンではなく、東洋医学の考え方に深く根ざした、もっと奥深い意味があることに気づかされました。
今回はこの「医食同源」という言葉の本来の意味や、現代の生活の中でどう活かせるのかについて、私なりにまとめてみたいと思います。食べること、そして生きることに向き合う中で出会ったこの四字熟語が、誰かの心にも残れば嬉しいです。
医食同源の意味とは?

「医食同源」という言葉は、中国の古い医書などに見られる思想で、「医」と「食」は根を同じくする、つまり“食べることと治療は本質的に同じである”という考え方です。
具体的には、「普段からバランスのとれた食事をしていれば、病気にならず、医者にかかる必要がない」という意味が込められています。
この言葉が最初に記されたとされるのは、中国・唐の時代の医書『黄帝内経(こうていだいけい)』であり、東洋医学においては食物そのものが薬と同じ役割を持つと考えられています。
つまり、薬を飲むことだけが治療ではなく、日々の食事がすでに「未病(みびょう)」を防ぐ重要な手段であるということ。私たちは食べることで、自然と身体を整えているのです。
医食同源の使い方とは?
では、「医食同源」という四字熟語は、どんな場面で使えばいいのでしょうか。ビジネスの場や日常会話で登場することは少ないかもしれませんが、健康を意識する場面では非常に使いやすい言葉です。
たとえば、料理教室のキャッチコピーとして「医食同源をテーマにした家庭料理」といった表現に使ったり、健康食品の紹介文の中に「医食同源の理念に基づいた素材を使用」と書かれていることがあります。
また、ブログやSNSで「最近体調を崩しがちだったけど、医食同源の考え方を取り入れて、食生活を見直したら元気になった」といった形で使えば、読者にも意味が伝わりやすいでしょう。
実際、私もあるとき体調を崩しがちだった頃に「医食同源って本当に大切なんだな」と実感した経験があります。コンビニやインスタント食品ばかり食べていた数週間、やたらと疲れが取れず、肌荒れもひどかったのです。
そこで意識して、旬の野菜を取り入れたり、発酵食品や玄米を中心にした食事に切り替えたところ、驚くほど体調が安定してきました。これもまさに「医食同源」が示す力なのだと実感しました。
医食同源をわかりやすく解説
難しい理屈を抜きにして、「医食同源」をもっと身近にするためにはどうすればいいのでしょうか。それは、「薬に頼る前に、食べるものを見直してみよう」という気持ちを持つことです。
たとえば風邪をひいたとき、「薬を飲んで寝る」だけではなく、「ネギやしょうが、梅干しなどの体を温める食材を使ったおかゆを食べる」といった対応をするのも、医食同源の実践です。
さらに、季節ごとに食材を選ぶことも体を整える大切なポイントです。春は解毒を助ける山菜、夏は体を冷やす瓜類、秋は乾燥対策にきのこや根菜、冬は体を温める根菜や味噌汁など、自然のリズムと調和する食事が、まさに「医」でもあり「食」でもあるということです。
つまり、「健康になりたければ、難しい薬や高価なサプリを買う前に、台所を見直してみよう」というメッセージがこの四字熟語には込められているのです。
最後に
「医食同源」は、単に健康マニアのための言葉ではなく、誰にとっても役立つ日々の知恵だと、私は思います。特別な料理を作らなくても、ちょっとした工夫──白米に雑穀を混ぜる、インスタントの味噌汁に乾燥わかめを足す、それだけでも十分「医食同源」なのです。
私のように家で過ごす時間が長い人にとって、食事は健康維持だけでなく、楽しみや生きがいにもつながります。だからこそ、「食」を「医」と捉えるこの言葉の持つ意味は、これからの時代ますます重要になるのではないでしょうか。
もし最近、体の不調を感じていたり、生活のリズムが崩れていると感じている方がいたら、まずは一日一食だけでも「医食同源」を意識してみてください。薬に頼る前に、食べるもので体を整える。それが本来の治療のかたちかもしれません。
この小さな四字熟語が、皆さんの健康と心の豊かさにつながれば幸いです。



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