「静かなる天才」。
サッカー好きな人なら、この言葉でアンドレス・イニエスタの姿がすぐに思い浮かぶかもしれません。
スペイン代表でW杯優勝の立役者となり、バルセロナの黄金期を支えた司令塔でありながら、常に物腰柔らかく、派手なパフォーマンスを誇示することもなく、ひたすらチームのために動き続ける姿に、多くのサッカーファンが心を打たれました。
私も車椅子の生活になってから、「自分ができることを当たり前に続ける姿勢」をイニエスタから学びました。どんなに足元の技術があっても、どんなにすごい経歴があっても、結局はその人の「心の強さ」が一番大事なのだと、イニエスタを見ていると感じさせられるのです。
今回は、イニエスタの心を打つ名言、彼の生い立ち、そしてサッカー界で築いた業績を、一人のファンの目線からわかりやすくまとめていきます。
イニエスタの名言とは?
イニエスタは多くを語るタイプの選手ではありませんが、彼の短い言葉の中には深い重みがあります。
例えば有名な言葉に、
「僕は勝つことよりも、正しい方法で勝つことを選びたい。」
というものがあります。サッカー選手として勝利を目指すのは当然です。でもその「勝ち方」にもこだわりを持ち続けるイニエスタの姿勢が、この言葉には込められていると感じます。
華麗なドリブルやパスで相手を翻弄しつつも、相手を侮辱するようなプレーは一切せず、チームのために献身的に走り、常に正々堂々とプレーを続ける姿勢。
私が辛いリハビリの時期にこの言葉を思い出したのは、焦って無理をして結果だけを追いかけそうになった時でした。「自分のペースで、正しい形で前に進むこと」を忘れずにいられたのは、この言葉があったからです。
また、こんな言葉もあります。
「僕はチームメイトの動きが見えているわけではなく、感じているんだ。」
サッカーにおけるパスのタイミング、動き出し、仲間との呼吸。それは計算だけではなく、「感じる力」が大切なのだと教えてくれる言葉であり、私たちの日常でも「相手を思いやることの大切さ」を気づかせてくれる言葉だと思います。
イニエスタの生い立ちとは?
イニエスタは1984年5月11日、スペイン・アルバセテ県フエンテアルビージャという小さな村で生まれました。
両親はワイン農家を営み、自然に囲まれた環境で育ったイニエスタ少年は、幼い頃からサッカーボールを蹴って遊んでいました。12歳の時には地元クラブの試合で才能を見せ、わずか12歳で名門FCバルセロナの下部組織「ラ・マシア」に入団することになります。
しかし、バルセロナの寮に入った当時、彼はホームシックにかかり、毎晩泣いていたと言われています。家族から離れ、まだ子どもだった彼が「大きな夢」を叶えるために戦った日々は、私たちが何かに挑戦する時の勇気を与えてくれる話です。
小さな体格ながらも抜群のボールコントロールと視野の広さを武器に、少しずつ階段を上り、ついに17歳でトップチームデビューを果たすことになります。
イニエスタの業績とは
イニエスタの業績は数え切れないほどありますが、代表的なものを挙げると以下のようになります。
- 2009年、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝でチェルシー相手に放った伝説の同点ゴール
- 2010年、南アフリカW杯決勝戦で延長後半に決めた決勝ゴールでスペイン初のW杯優勝に貢献
- FCバルセロナでの数々のタイトル(ラ・リーガ優勝9回、CL優勝4回など)
- 「バロンドール」投票で2位・3位にランクインするなど、世界最高峰の選手として評価
しかし、彼の最大の業績は、数字だけでは語れない「チームへの献身」と「サッカーを純粋に楽しむ姿勢」にあると私は思います。
大きな怪我を乗り越え、仲間を活かすためのプレーを続ける姿は、私のように困難を抱える人にとっても「前に進む力」をくれるものです。
そして、神戸でのプレーを選び、異国の地でもファンとチームのために全力を尽くした姿も、多くの日本のファンの心に残っています。イニエスタは「一流のプレイヤーである前に、一流の人間であること」をサッカーを通じて教えてくれました。
最後に
私は車椅子で生活しているからこそ、イニエスタのように「黙々と挑戦を続ける人」の姿に心が動かされます。
派手なポーズや大きな言葉で目立つわけではないけれど、自分の信じる道を静かに進み、結果を残し続ける強さ。その姿勢が「勝つことよりも、正しい方法で勝つことを選ぶ」という名言に表れているのだと思います。
何か新しいことを始める時や、目標に向かって努力している時、不安になることも多いです。そんな時にイニエスタの言葉を思い出すと、「自分らしく、正しいやり方で続けることが大事」ということを教えてくれます。
イニエスタの生き方は、サッカーの枠を超えて、私たちが日々を過ごす上での大きなヒントになるはずです。これからも彼の名言を胸に刻みながら、自分のペースで、私も前へ進んでいきたいと思います。
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