「障害者のドクゼツ本音とーく」をSNSで応援しよう!

有島武郎の名言に宿る覚悟と信念|華麗なる生い立ちと文学界への偉業とは?

あ行
スポンサーリンク

 
 
「自分のために生きるな、人のために生きろ。」

そんな強烈な言葉が、胸に突き刺さる瞬間がある。私がその一言に出会ったのは、図書館の古びた文庫本のなか。ページの端が折られたその場所に、有島武郎の名前があった。

正直に言えば、私はそれまで有島武郎についてほとんど知らなかった。だが、その名言が妙にリアルで、生々しくて、それでいて不思議と美しかったのだ。

この記事では、有島武郎という一人の作家の言葉、生い立ち、そして日本文学史に残した業績を、素人の私なりにひも解いてみたいと思う。難しい文学論ではなく、読んでくださるあなたと一緒に「へぇ、そうだったんだ」とうなずけるような時間になれば幸いだ。

 

 

スポンサーリンク

有島武郎の名言とは?

 

有島武郎の名言のなかでも、最も多く引用されるのがこちら:
 
 

 
「汝の為に生きず、人の為に生きよ。」

 
 


 
 
この言葉には、キリスト教の精神と、明治以降の人間主義が色濃く反映されている。裕福な家庭に育ち、アメリカで学び、のちに作家となった彼がこのような言葉を残した背景には、理想と現実の激しい葛藤があったのだろう。

この名言は、ただの精神論では終わらない。実際に有島は、北海道の農地を小作人に無償譲渡するという前代未聞の行動をとっている。思想と行動が一致している人間ほど強いものはない。その生き様が、この言葉に真の重みを与えているのだと思う。

また彼の作品にも、その思想が根強く反映されている。『或る女』や『カインの末裔』などでは、社会の底辺に生きる人々の苦しみや矛盾が描かれ、「人のために生きる」という覚悟が一貫して表れている。彼の名言は、文字通りの人生哲学であり、その生涯を貫いた理念そのものなのだ。

 

スポンサーリンク

有島武郎の生い立ちとは?

 

有島武郎は、1878年、東京・麹町に生まれた。父・有島武は北海道開拓使の長官や貴族院議員を務めた、いわば明治の大物官僚だ。家庭はまさに上流階級であり、教育にも熱心だった。

兄弟には画家の有島生馬、宗教家となった有島安子(のちの広岡浅子の養女)など、文化的な香りに満ちた家系で育った。

若き日の武郎は、札幌農学校(現在の北海道大学)を卒業後、アメリカ・ハーヴァード大学へと留学する。欧米の自由主義やキリスト教精神に触れ、日本の階級社会や道徳観との違いに悩むようになる。そして彼の中に「人間とは何か」「自分はどう生きるべきか」という命題が芽生え始める。

帰国後、彼は英語教師として教壇に立ちながら、やがて文学の道へと足を踏み入れる。華やかな学歴とは裏腹に、心の奥ではいつも「自分は社会にどう役立てるか」「本当に豊かな生とは何か」を問い続けていたという。

その問いかけは、作家としての彼のすべての原動力だったのかもしれない。

 

スポンサーリンク

有島武郎の業績とは

 

有島武郎が文学界に与えた影響は、単に「作品を残した」だけでは語れない。彼の最大の特徴は、「書くだけでなく、行動した」作家であったことだ。

たとえば、彼が地主として所有していた北海道の広大な農地を、貧しい小作人に無償で譲った事件。これは、単なる慈善ではない。彼は、農民が自らの土地で生きていくことこそが「自由な人生」だと考えていたのだ。

これは当時の常識では考えられないことで、文学界だけでなく、社会的にも大きな波紋を呼んだ。

文学面でも、彼は雑誌『白樺』の同人として活躍し、武者小路実篤や志賀直哉らとともに「白樺派」として個人主義と人道主義を掲げた。彼の作品群は、ただの物語ではない。読者に人間のあり方を問いかけ、社会の矛盾を突きつける鋭さがあった。

たとえば『カインの末裔』では、貧しい農民が追いつめられていく姿を通して、「誰が悪いのか?」という問題を描いている。彼の視線は、常に「見捨てられた人々」に向いていた。

さらに『或る女』では、自由を求めて破滅していく女性の姿を通し、当時の女性観や結婚制度の閉塞感を容赦なくあぶり出している。まさに、今読んでも胸がえぐられるような作品だ。

 

スポンサーリンク

最後に

 

有島武郎という名前を聞いて、「難しそう」と思う人もいるかもしれない。正直、私も最初はそうだった。だけど、彼の言葉や生き方を知れば知るほど、「こんな人が日本にいたんだ」と驚きと敬意の念がわいてきた。

彼の名言「汝の為に生きず、人の為に生きよ」は、決して空虚なスローガンではない。人生の最後までその言葉を生き抜いた人の重みがあるからこそ、今でも多くの人に響いているのだろう。

現代は自己実現や自己肯定感がよく叫ばれる時代。でも、ふと立ち止まって「誰かのために、自分は何ができるか」を考えてみるのも、大切なことなのかもしれない。

この記事が、あなたにとって有島武郎という人物を知るきっかけになれば、それ以上に嬉しいことはない。

 
 

まっつん

はじめまして、頚髄損傷者のまっつんです。

健常者から障害を持つようになり、車椅子で生活していることでの感じた考えを綴ろうと思います。

共感していただければコメント欄からどしどし書き込んでもらえると幸いです。

「障害者のドクゼツ本音とーく」をフォローしよう!
あ行偉人
スポンサーリンク
「障害者のドクゼツ本音とーく」をFacebook Twitterでシェアしよう!
「障害者のドクゼツ本音とーく」をフォローしよう!

コメント

error: Content is protected !!